最小分散ポートフォリオのパフォーマンスはすばらしいのですが、毎月リバランスすると手数料と税金がかかりますよね。
先日、レバレッジETFを用いた最小分散ポートフォリオの手数料と税金について検証しましたが、これらを考慮しても採用に値するのでは!?という結果でした。
ところで最小分散ポートフォリオは、値動きが一番小さい割合で組み合わせを行うものですが、リバランスを怠ったらどうなるのでしょうか?
当然、パフォーマンスが悪くなることは想像できますよね。
でも、リバランスの回数が減ることで、手数料と税金が少し減るのではないでしょうか?
多少パフォーマンスが悪化しても、手数料と税金が減ることでメリットがあるなら、手間も減って一石二鳥ですよね。
ということで、どのくらいリバランスを怠ってもよいものか検証してみました。
目次
条件の確認
2010年1月から10,000ドルでスタートし、税金はリバランスでの売却時に利益が出ている場合は20.315%の税金を減算、手数料は最小5ドル、最大20ドル20.16ドルで計算しています。
1%怠けの場合は、例えば現在の割合がSPXL65%:TMF35%だったとして、最小分散の割合がSPXL64%:TMF36%に変わった場合にはリバランスを行わず、SPXL63%:TMF37%に変わった場合にリバランスを行います。
2%怠けの場合は、同じ例だとSPXL62%:TMF38%の場合にリバランスします。
なお、SPXLの割合が減る場合を例としてあげましたが、増える場合も同じ考え方です。
検証してみた
ということで早速検証してみました。
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グラフが重なってしまっているので見づらいですが、表にするとこんな感じでした。
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まとめ
グラフと表から、2010年1月から2018年12月2019年3月の期間では、1%怠けが一番パフォーマンスがよく(ただし、1~3%5%怠けのパフォーマンスの差は誤差の範囲という気がします)、4%6%以上の怠け(乖離)はパフォーマンスが大きく劣ることがわかります。
意外な結果だったのが手数料と税金です。
残念ながら怠けてもあんまり減らないことがわかりました。
10,000ドルでスタートの場合、手数料は結局最大の20ドル20.16ドル(合計40.32ドル)を払っていることが多く、税金は利益確定する際にまとめて取られるので、長くても数ヶ月の繰り延べにしかならなかったためと思われます。
今回の検証からは、2010年1月から2018年12月2019年3月までの期間について、リバランスを怠けても手数料も税金も減らすことはできないが、3%5%くらいまでは最小分散から乖離しても影響が大きくなかったということがわかりました。
リバランスを怠けても最小分散の比率を維持するコストが減らないのであれば、毎月最小分散の比率にリバランスしていくのがよさそうですね。
思ったような結果にはなりませんでしたが、リバランスの際に多少値動きがあってピッタリの比率(例えば、24.77%と75.23%とか)にできなくても、3%5%くらいまで誤差の範囲ということがわかりました。
毎月リバランスは必要だけど、すごく神経質にならなくてもよさそうですね。
お詫びと訂正(2019/4/24)
一部、最小分散の比率を計算する数式に間違いがありました。
数式を修正し再度検証を行いましたので、それに伴い本文の一部(取り消し線部分)とグラフ、表を修正しました。
また、最初の投稿時より検証できる期間が長くなりましたのでデータ取得期間も修正しています。
なお、この記事以外の検証記事については、Portfolio Visualizerで算出した数値を使用していましたので修正等はありません。
※投資は自己責任です。
神谷様のtweetから流れて伺いました。素晴らしい考察ありがとうございます。
個別株BTI毎月NISAで10万+最小分散で200万を運用しているものです。
前年特定口座で損出し確定申告をしていて、損益通算で手数料の取り返しができる場合はしっかり最小分散を守り、そうでないなら3%以内なら無視すれば良さそうです。
こちらこそ、コメントありがとうございます。
譲渡損失の3年間繰越控除ですね?これまで買うばっかりで、確定拠出年金以外で売ることがなかったので、大変勉強になります。
投資の方法だけでなく、税金についてもしっかり勉強しないとだめですね…ありがとうございます!
私も神谷さんのコメントから初めて訪問させていただきました。3倍レバレッジの動的最小分散pfは3日前に始めたばかりの超新人です。万が一、Portfolio Visualizerが閉じてしまったり、有料化でえらく高くなったりしたら困るなぁと思っていた矢先に、こちらのブログに行きつけたので本当に助かります。
ありがとうございます!元々自分の勉強のために作ったものなのですが、こんな形で使っていただける機会が巡ってくるとは思っていませんでした。お役に立てて光栄です!
自分で独自の投資モデルを計算してみたくてPythonの勉強も同時に始めました。でも、肝心の株価データをどこから引っ張ってこられるかも分からない超シロートで、pepperoni-tigerさんのエクセルモデルを見させていただき、「おお、googlefinansという便利な関数があるんだ」ということに今更気づいただけでもう感激してます。まずはpepperoni-tigerさんのエクセルを手本に勉強をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
おお、すごい。プログラミングの勉強しようしようと思ってまだ何もしていない私とは大違い…なんだか恐縮ですが、これからもどうぞよろしくお願いします!