神谷政敏さんの「運もお金もない人のための資産の増やし方」を読みました。
正直なところ、数式部分などは十分に理解できておらず、勉強不足を実感しました。
詳しい内容は是非、実際に読んで確認してほしいのですが、本書で紹介されていた、最小分散ポートフォリオと動的試算配分の威力がすごかったので、気になるポイントを確認してみました。
目次
最小分散ポートフォリオと動的資産配分
本書で紹介されていたポートフォリオは「最小分散」「動的試算配分」がポイントです。
最小分散ポートフォリオ
与えられた投資対象の組み合わせの中で、リスクが最も低くなると期待されるポートフォリオのこと。理論的には効率的フロンティアの最も左端に位置するポートフォリオである。実証研究において、最小分散ポートフォリオは、時価総額加重インデックスよりリスクが小さく、リターンは同程度か高いという結果が報告されており、リスク抑制を目的とする投資戦略である。
三菱UFJ信託銀行 用語解説
動的資産配分(ダイナミック・アセット・アロケーション)
市場の均衡を前提に、保有する資産価格の変動に応じて、一定の基準のもとで機動的に資産配分比率を変更する運用手法。順張り手法は凸戦略、逆張り手法は凹戦略と呼ばれている。短期のアセット・アロケーション戦略の一つ。野村證券 証券用語解説集
私は、その時々において、リスク(資産の振れ幅)が最も小さくなると期待される割合で資産を組み合わせると理解しました。
最小分散とオールウェザー
本書では2010年からのレバレッジETFを用いた運用が紹介されていました。
2010年から2017年までは非常に相場がよく、上り調子だったのでレバレッジETFを利用した運用はすばらしい実績でした。
でも、上げ相場で調子がよいのは当たり前です。
相場がよいときだけ強くても、相場が悪くなったときに致命的なダメージを受けてしまっては意味がありません。
レイ・ダリオのオールウェザーのような安定感が欲しいです。(わがまま)
というわけで、最小分散とオールウェザーを比較してみました。
レバレッジETFは歴史が浅くデータが少ないので、最小分散はレバレッジのかかっていない米国株式(VFINX)と米国長期債(VUSTX)を使用します。
オールウェザーは、より長期のデータを取るために、レイ・ダリオのオールウェザーのコモディティ部分を金(つまり金15%)で代替した、擬似オールウェザーを使用します。

比較できるデータが年次のモノしかなかったので、ゆるーいグラフになってしまいましたが、最小分散と擬似オールウェザーの値動きが似ていることはわかります。
なお、どちらも手数料、税金を考慮していませんので、実際のパフォーマンスはもう少し悪くなりますが、これだけリスクが少ないのであれば、レバレッジをかけたくなりますよね。
なお、本書では、取引にかかる手数料と税金*は考慮されていませんでした。
*税金については是非本書でご覧ください。
もし、手数料と税金がフルにかかるとしたらいったいどんなパフォーマンスになるのでしょうか?
2010年~2018年のパフォーマンス
リバランス時に、売却分から20.315%減算(利益が出ていない場合は減算なし)、手数料はSBI証券の売買額の0.45%(MIN 5ドル、MAX 20ドル)で計算しました。

SPXLとTMFの最小分散は、2010年に10,000ドルでスタートし、2018年には11.46倍になりました。(同期間のS&P 500は2.67倍)
やはり少額の場合には手数料の影響でパフォーマンスを落としており、1,000ドルでスタートした場合は8.46倍、5,000ドルでスタートした場合は11.02倍のパフォーマンスでした。
2010年からのパフォーマンスでは、手数料と税金を考慮しても、すばらしいパフォーマンスだったと言えると思います。
ただし、先にも述べましたが、いいときにいいのは当たり前です。
市場が不安定だった2018年はどうだったのでしょうか?
2018年のパフォーマンス
悪かったときの状況がみたい(本当はITバブルとかリーマンショックのところが確認出来ればいいのですが)ということで、市場が不安定だった2018年だけ切り取ってみてみます。

こちらは5,000ドルでスタートした場合のグラフですが、SPXLとTMFの最小分散は、手数料と税金を考慮しても、S&P 500をアウトパフォームしています。
そして、こっそり追加してみたレバレッジド・オールウェザー(ROKOHOUSEさん参照 SPXL20:TMF25:IEF25:GSG15:GLD15)よりもよいパフォーマンスでしたね。
ただ、全体としてパフォーマンスが悪かったため、手数料の影響が大きい少額での運用ではマイナスになりました。(ちなみに3,000ドル以上で運用してればプラスになった計算でした。)
まとめ
2018年含め、最小分散ポートフォリオの動的資産配分は、これまですばらしいパフォーマンスだったことは間違いありません。
ただ、本書でも述べられているとおり、過去のパフォーマンスは未来のパフォーマンスを保証するものではありません。
それでも今後、どのようなパフォーマンスになるか楽しみでなりませんね。
そこまでいうのに採用しないのかって?昨年末のボーナスはつみたてNISAに突っ込んでしまったので、お試しできる元手がないのです。笑
特定口座で運用中の資産を切り替えてもよいのですが、あせっても仕方がないので、もう少しよく考えてみようかなと思います。
もし運用することになったら、こちらでお知らせする予定です。
※投資は自己責任です。