前回の記事で直近9年(2009~2018)のデュアルモメンタムを確定拠出年金で検証してみました。
ところが思ったとおりの結果は得られず、バイ・アンド・ホールドにボロ負けするという結果でした。デュアルモメンタムは終わってしまったのでしょうか?
目次
本当にデュアルモメンタムは死んだのか?
テストの結果は散々でしたが、私はモメンタムというアノマリーが死んでしまったわけではないと思っています。
たまたまテストした期間のパフォーマンスが良くなかっただけというのが私の見解です。
また、デュアルモメンタムは絶対モメンタムと相対モメンタムの組み合わせですが、本書にも記載があるとおり、より重要視すべきなのは絶対モメンタムだと思います。
絶対モメンタムを利用して大幅なドローダウンをさけること、つまり「危険」という意味でのリスクを回避することがこの戦略のポイントなのではないでしょうか。
もう一度、過去のパフォーマンスを見てみる
1985年から2018年までのパフォーマンスで比べてみましょう。
いつものPORTFOLIO VISUALIZERですが、絶対モメンタムと各ポートフォリオを一緒にバックテストできないので、結果のデータだけ抽出し、Excelで加工してグラフにしてみました。
残念ながら私には1985年からテストできるVFINX(米国株インデックス投資信託)の相方(米国株以外のインデックス投資信託かETF)が見つけられませんでしたので、ここでは絶対モメンタムのバックテストを行いました。
- 青色:All Weather(米株30:米長期債40:米10年債15:金15)*
- 緑色:6:4 Portfolio(米株60:米長期債40)
- 赤色:4:6 Portfolio(米株40:米長期債60)
- 紫色:Vanguard 500 Index Investor(米株100%)
- 水色:Absolute Momentum(米株の絶対モメンタム、月1回のルックバック12ヶ月、避難先はcash)
*本来は金7.5:コモデティ7.5ですが、コモデティでは2007年以降のシュミレーションになってしまうため今回はコモデティ分を金で代替しています。
1985年~2018年のパフォーマンス


パフォーマンスを見て思うこと
絶対モメンタムはAll Weather、4:6 Portfolio、6:4 Portfolioには安定感で劣るものの、Vanguard 500 Index Investorをホールドするよりは安定感があり、かつリターンも良いことがわかります。
利益確定時の税金は考慮されていないので、リターンは割り引いて考える必要がありますが、確定拠出年金およびiDeCoであれば非課税になりますのでそのまま参考にして良いと思います。
またグラフを見てみるとやはり下落相場でのドローダウンを避けることで他のPortfolioと差をつけているのがわかります。
このパフォーマンスに相対モメンタムの特性を加えて考えると、デュアルモメンタムであればもう少しリターンが改善する可能性があります。
まとめ
大切なことなので改めてお伝えしますが、デュアルモメンタム(に限ったことではありません)が過去に良い成績を残したからといって、これからも同じような成績を残し続けていけるかどうかは全くわかりません。
また、前回の検証では(大きな下落のない上昇局面でしたので)揮いませんでした。
それでもやはり、私は下落局面を含む長期間では良いパフォーマンスをあげそうな戦略といえるのではないかと思います。
それは本を読んで知った過去のパフォーマンス、今回のバックテストの結果に加えて、「上がると買いたくなる、下がると売りたくなる」という人間の性質は恐らくこれからも変わらないのだろうと思えるからです。
2019年以降マーケットは下落に転じるのではといわれて言いますし、絶対モメンタムをひとつの危険回避の指標として取り入れるのはアリなのではないでしょうか。
私は確定拠出年金でデュアルモメンタムを実践しようと思っていますので、これからの動向は定期的にお知らせしていくつもりです。
※投資は自己責任です。